思い出の昭和、そして上月町
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(第71話)雑音の無い世界〜初めてデジタルサウンドを聴いた日

<<2009.01.19記>>
昭和53年ごろのことだったろうか、私はあるオーディオフェア的なイベント会場で初めてデジタルサウンドを聴いた。
当時はすでにDENONがPCM録音した音源を使ってアナログレコードを出してはいたが、100%デジタルはまだまだ聴けなかった時代だ。
CDが世に出たのが1982年、昭和57年のころであった。それよりも4年ほども前にデジタルサウンドを聴いたときの驚きったらなかった。それこそ、スピーカーの前で、後ろに吹っ飛ぶくらいのショックを受けた。
音質がどうとかこうとかという以前の驚きである。

それまでの音楽ソースといえば、LPレコードをはじめとするアナログレコード。
そしてカセット、オープンリールを使用したテープ。
そしてFMラジオ(FMチューナ)だった。

どれもが音が出る前とか楽音が小さいときには絶対に雑音というものが聴こえるのだ。
テープにはヒスノイズ(シーっと聴こえる)、FMにはホワイトノイズ(サアーっと聴こえる)、レコードではスクラッチノイズ(プチパチ、または溝をこする針音)。
ましてやレコードを作製すること自体、いったんテープに録音してからミキシング、トラックダウンをして2チャンネルステレオ方式でレコードを作るので、レコードからはスクラッチノイズにさらにテープ録音時のヒスノイズも乗っかっているわけで・・・・。
さらにそのレコードをFM局がかけて電波に乗せてくる。
当時のアナログ音質自体は捨てたものではなく、それどころか今より良かったのではないかとさえ思えるすばらしいものでしたが、こと「雑音ということにおいては」避けて通れなかったわけです。

初めてそのデジタルサウンド、もちろんその視聴用ソースはデジタル録音されたものあったはず。まったくいわゆるノイズが無い状況からいきなりあふれんばかりの音がほとばしり出たのだから、私の驚きといったら無かった。
後々になってCDプレーヤを買ったとき、デジタルサウンドの良い悪いは別にして、単に雑音というものが無い状況というものは最初のうちなかなか慣れなかった。
アナログレコードが鳴り始める前には針を落とす「プチ」という音と、針音の「ザー」という音が若干聞こえてから音楽がなる。またこのノイズの鳴り方でオーディオ装置の性能の一部が伺えたものだ。
それが聴こえなくなったのだから、大げさな話ではなく、心底最初はとまどいました。
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